
看護学校一期生のなかに、岡山出身の女性がいた!がむしゃらに生き、時代を切り拓いた人々を描き出すミュージカル『拝啓 ナイチンゲール様』が、本年12月に岡山、東京、水戸にて上演される。
岡山芸術創造劇場が、2024年に始動した人材育成事業から新たな創作へと発展した本作は、脚本・作詞の高橋知伽江が、「日本にもナイチンゲールのような人がいたかもしれない」と調べたところから、制作がスタートした。原案の「明治のナイチンゲール 大関和物語」には、なんと看護学校一期生のひとりとして、岡山県津山市出身の広瀬梅が登場する。岡山にある創造型劇場・ハレノワが創る初めてのミュージカル作品として、誰にも語られることのなかった広瀬梅の人生を軸に、“看護婦”という職業の礎を築き上げた看護学生たち、明治から大正を彼女たちと共に生き抜いた人々を鮮やかに描き出す。
本作の原案は、現在放送中のNHK連続テレビ小説の原案「明治のナイチンゲール 大関和物語」(田中ひかる著、中央公論新社刊)。日本が武士の国から近代国家へ一気に生まれ変わった明治時代、政治・社会・教育などが目まぐるしく変化していくなかで、“看護”は「金銭目的で病人を世話する賤しい仕事」として蔑まれてきた。本作は、そんな激動の時代のなかで、社会の偏見に立ち向かいながら、看護を学ぶ看護学生5人の、学生時代からそれぞれの道を歩み出すまでの軌跡を届ける。
脚本・作詞を務めるのは、劇団四季勤務を経たあと、『手紙』『生きる』『バケモノの子』など、昨今はオリジナルミュージカルの脚本執筆を中心に活躍する高橋知伽江。作曲・音楽監督を務める深沢桂子は、ブロードウェイ作品からオリジナルミュージカルまで様々な舞台の音楽に携わり、約10年間にわたってミュージカルワークショップ(主催:(公財)岡山文化芸術創造)の講師も務めた。演出の眞鍋卓嗣は劇団俳優座に所属、演劇賞を多数受賞している。2023年のブロードウェイ・ミュージカル『ドリーム・ガールズ』の演出から、約3年ぶりとなるミュージカル作品への参加となる。歴史に埋もれてしまった偉大な人物を作品にすることを大事にしている高橋知伽江と、女性の生きざまを音に乗せる深沢桂子の音楽、現代に必要なテーマを模索し突き詰める眞鍋卓嗣の演出が、どのような相乗効果を生み出すだろうか。

江村美咲 森 加織 翔大 佐藤 誓
川上遥菜 井上蓉子 浦宗 航 落 理菜子
森本智子 森本 凪 大谷 澄 田部ほのか
主人公・広瀬梅を演じるのは、原田真絢。2023年の新国立劇場のフルオーディション企画『東京ローズ』にて、936名の応募の中から抜擢。その後もミュージカル『SIX』、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』への出演など、力強くも伸びやかな歌声を生かした役どころを数多く担っている。同じく看護学校一期生を演じるのは、音楽座ミュージカルで17年間にわたり数々の作品で主演を務め、文化庁新進芸術家海外研修員としてニューヨークで研鑽を積んだ高野菜々。退団後初の出演作となるミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』にも現在出演中。
ほかにも、若手ながらミュージカルを始め、様々な舞台出演が止まらない小多桜子、田代明が一期生を演じる。共演には、坊っちゃん劇場でのオリジナルミュージカルへの出演経験があり、高橋・深沢の信頼が厚い江村美咲、翔大が出演。
また、ミュージカル『レ・ミゼラブル』、ミュージカル『天保十二年のシェイクスピア』などミュージカル作品だけでなく、アニメや吹き替えなどの声優業でも活躍する森加織、蜷川幸雄や平田オリザなど、名だたる演出家のストレートプレイを中心に、テレビ・映画などでも重厚な存在感を放つ佐藤誓が、確かな演技力で彼女たちを支える。
さらに今年4月には、出演者オーディションを開催し、経験豊かな俳優や、プロを目指す若手など、岡山にゆかりのあるキャストを選出。川上遥菜 井上蓉子 浦宗航 落理菜子 森本智子 森本凪 大谷澄、田部ほのか、といったメンバーが世の中の変化に身を揉まれながらも、抗いつづける明治の人々を演じる。
《あらすじ》
明治の初めまで、看護は金銭目的で病人の世話をするいやしい仕事と思われていた。
しかし明治20年、専門教育を受けたトレインド・ナースを養成する看護学校が開校し、一期生の5人はナイチンゲールの教えを学ぶ。その中の1人が岡山県出身の広瀬梅。5人は社会の偏見や因習に立ち向かい、看護だけでなく、女性でも自立できる生き方を模索し、それぞれが自分の道を選んで歩きだす。
彼女たちの友情と勇気、そして無鉄砲なほどの挑戦の日々を描くオリジナルミュージカル!
【コメント】
原案:田中ひかる
広瀬梅には、原案の『明治のナイチンゲール 大関和物語』の執筆中、史料を渉猟するなかで出会いました。長らく歴史に埋もれていた梅のことを私は「令和に甦った岡山の偉人」と呼んでいます。昨夏のプレ公演以来、早く続きが観たくて仕方ありませんでした。女性が自分の人生を選びとることが難しかった時代に、つねに人のために道を選び、切り開いていった梅。このミュージカルは、今を生きる私たちにも大きな勇気と力を与えてくれるに違いありません。
脚本・作詞:高橋知伽江
看護師は、明治初期まで卑しい職業と思われていました。その史実に驚いた私は、看護という仕事に挑んだ人たちに興味をもつようになり、勇気ある挑戦者の一人、岡山県津山市出身の広瀬梅さんの存在を知りました。苦しむ人をがむしゃらに救おうとする梅さんの≪一途な無鉄砲さ≫には目を見張るものがあります。梅さんの同期生たちもそれぞれ勇敢に人生に立ち向かいます。明治という時代、偏見や差別と闘い、夢に心燃やして生きた彼女たちを、ぜひ劇場で応援してくださいますようお願いいたします。
作曲・音楽監督:深沢桂子
岡山に通い始めて10年。ワークショップでは、ミュージカルを愛する子どもから大人までが、努力や挫折、喜びを分かち合いながら励んできました。その一人ひとりの成長を見届けられたことは、かけがえのない思い出です。岡山出身の広瀬梅さんを主人公に、まだ看護という仕事が十分に認められていなかった明治時代、自らの信念を胸に道を切り拓いた女性たちの姿を描きます。今作には、当時教えていたワークショップ参加者の子もプロの俳優と同じ舞台に立ちます。その姿を見ることが、私にとって何よりの喜びです。音楽が物語に命を吹き込み、世代を超えて受け継がれる「想い」の力を、笑顔も涙も希望も包み込みながら、観る方の心に長く残る作品になることを願っています。
演出:眞鍋卓嗣
『拝啓 ナイチンゲール様』には、「使命」という言葉が出てきます。それは、自分のためだけではなく、周りの人や社会の“おかしい”と感じることに向き合い、自分にできることへ命を使うということ。時代は違っても、生きづらさや声を上げる難しさは今に通じるものがあります。だからこそ、信念を持って未来を切り拓こうとした彼女たちの生き様は、観るに値するものです。岡山という土地で、多くの人の熱意とともにこの作品を創り、お客様が劇場を出たあと、少しでも勇気をもらえる。生きる力を感じられる。そんな作品にしたいと思っています。

【公演情報】
岡山芸術創造劇場 ハレノワ プロデュース
ミュージカル『拝啓 ナイチンゲール様』
原案:田中ひかる「明治のナイチンゲール 大関和物語」(中央公論新社刊)
脚本・作詞:高橋知伽江
作曲・音楽監督:深沢桂子
演出:眞鍋卓嗣
出演:原田真絢 高野菜々 小多桜子 田代 明 江村美咲 森 加織 翔大 佐藤 誓
川上遥菜 井上蓉子 浦宗 航 落 理菜子 森本智子 森本 凪 大谷 澄 田部ほのか
ミュージシャン 樋口菜穂美(ヴァイオリン) 中林成爾(チェロ) 内田 充(ギター)
萱谷亮一(ドラム・パーカッション) YUKA(キーボードコンダクター)
●12/5・6◎岡山公演 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場
●12/11〜13◎東京公演 東京芸術劇場 シアターイースト
●12/19・20◎水戸公演 水戸芸術館ACM劇場
〈劇場公式サイト〉https://okayama-pat.jp
〈公式X〉@HarenowaMusical



