詩森ろば作・演出、原嘉孝・那須佐代子らの出演による『スローターハウス』 開幕!

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詩森ろばが主宰するserial numberの新作『スローターハウス』 が、原嘉孝を主演に迎え、7月15日に、東京芸術劇場シアターイーストにて開幕した。(23日まで)
 
2016年神奈川で起きた障害者施設での大量殺人事件は社会に大きな衝撃を与えた。施設の元職員であった犯人が優性思想をはっきりと口にし、障害者を生きる価値のないものとして位置づけ行ったこの大量殺人は、個人が行った犯罪としては規模も動機も過去にあまり例のないものであった。

詩森ろばの新作『スローターハウス』はこの事件に多大なショックを受けた詩森が、その犯人と障害児を殺された母との葛藤を対話劇のかたちで炙り出す意欲作。

主役の青年役に『hedge1-2-3』に出演し、高い評価を受けた原嘉孝を迎え、彼と対峙する母親役にさまざまな舞台で活躍する那須佐代子。語り手の施設職員をモダンスイマーズの津村知与支、そして殺された息子役を鐘下辰男作品などに出演する新垣亘平が演じる。

《ものがたり》
少年は過酷な環境の中育ち、取り返しのつかない犯罪を犯した。
それは障がい者をこの世に必要ないものと考えて殺すという許されざる犯罪だった。
未成年だった青年は20代後半となり刑務所を出て、いまは孤独に暮らしている。
そこにひとりの女が訪ねてくる。
それはかつて彼が殺した障がいを持つ子供の母であった。
ふたりの行き場のない会話が、鋭く現代を切り裂いていく。

【開幕コメント】
詩森ろば

hedge1-2-3でご一緒した原嘉孝さんとお話しするなかでこの物語は始まりました。そして参加してくれた俳優たちによって、言葉も演出も磨かれていきました。未熟だった戯曲は何度も何度も修正され、その修正された箇所が「これは要らないかもしれないね」とカットされ、解釈自体も何度も上書きされながら、創ってきました。もがきながら。それはこの題材なのですから、もがかないというのは無理難題なのですが、このメンバーでもがけた一か月はとても大切な時間でした。

タイトルは敬愛する作家カート・ヴォネガットの作品「スローターハウス5」へのオマージュです。ヴォネガットは「戦争は子供を奴隷にする」との言葉を残していますが、いまや社会全体が子供を奴隷にするシステムなのではないか。わたしたちの稽古場でのもがきが、そのシステムに例え糸ほどの儚い亀裂でいいから走らせることができたらと願います。

いよいよ、開幕します!ここからは俳優たちに託します。彼らが舞台のうえでただ向き合い対話をすることでしか成しえない物語がひとつここにあります。立ち会っていただけたらと思います。

【公演情報】
serial number09 『スローターハウス』
作・演出:詩森ろば
出演:
原嘉孝
那須佐代子                                   
津村知与支
新垣亘平 
●7/15~23◎東京芸術劇場シアターイースト 
〈料金〉前売・当日共一般6,500円/障害3,000円/学生4,000円 (全席指定・税込・未就学児童入場不可)  
※障害者、学生は劇団のみの取扱い。当日受付にて手帳をご提示下さい。
※開場は開演の30分前。
〈お問い合わせ〉house@serialnumber.jp
〈公式サイト〉https://serialnumber.jp/

【撮影:坂功樹】

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