この3月に大阪・山形・東京の三都市で上演して参りましたプロジェクトKUTO-10「三大劇作家の世界大冒険」が無事に終了いたしました。ありがとうございました。これで今年の1〜2月に参加致しました劇団ホチキス「ベイビーブラフ」東京・長岡・名古屋公演から二連続の小劇場三都市公演シリーズが終わりました。まあ、実は次の劇団☆新感線「アケチコ!」も三都市公演なのは内緒だよ。
そんな訳で今年の1〜3月には二つのカンパニーで合計六都市を巡りました。まあ、どちらも東京公演は下北沢でしたので実質五都市なのですが、まあいいでしょう。ホチキスでは350席前後、KUTO-10では60席前後と規模に違いがありますが、まあどちらも小劇場での公演です。
前回、前々回と続けて小劇場での演劇について書いてきましたが、今回も小劇場での楽しみ方を書いていきたいと思います。三ヶ月連続ではありますが、いいじゃないですか。この三ヶ月の私は小劇場の私なのですから。
この二回では小劇場の特徴を書いてきましたね。小劇場は舞台も客席も狭いだとか、舞台ソデも楽屋も狭くて小道具の置き場所に困るだとか、楽屋から舞台までが近いので移動が短くて楽だとか、天井が低いので照明が近すぎて熱いだとか、良いのか悪いのかよく判らない特徴を書き連ねてきました。いいんです。それもひっくるめて小劇場なのです。
では、そんな小劇場での楽しみ方はどうでしょうか。お客様には客席が窮屈だとか、パイプイスでお尻が痛いとか、ロビーが狭くて居場所がないとか、色々とご迷惑をお掛けして申し訳ありません。また、舞台装置や衣裳がシンプルだったり簡素だったりするのも残念ポイントです。すいません、予算が少ないのですよ。
しかし、その分だけ客席と舞台が近くて臨場感を味わって頂けることと思います。また、小劇場では斬新だったり意欲的だったりする作品も多くて楽しめます。少ない予算でもアイデアの光る作品が多いのはインディーゲームやインディーズバンドと同じ現象ですね。大劇場では中々冒険ができません。
我々演劇人にとっても小劇場ならではの楽しみ方があります。まずは地声が通ること。300人を越えるような劇場では床や壁にマイクを仕込んだりしますが、それはあくまでも補助的使い方でして基本的には生声です。声のボリュームや抑揚を完全に自分でコントロールできるのが楽しいところ。まあ、その分、ノドに負担が掛かるんですけれどもね。
音関係で言えば、生の効果音の効果が大きいのも魅力です。手を叩くとか足音とか、あるいは金属製の小道具を落とすだとか、そういう生の効果音がダイレクトに響くのも小劇場ならではです。
また、小劇場の方が効果的な演技も数多くあります。ちょっとした目の動きや首の動き、あるいは表情の変化が全てのお客様に届きます。マイクを使う大劇場では誰が喋っているのか判りにくいので、少し大きな動きを付けてしまいがちですが、小劇場ではもっと繊細な動きで表現できるのが楽しいんです。まあ、私の場合はどうしても大きな動きなってしまうんですけどね。
さらに、客席に語りかけたり目線を送ることによって客席を巻き込むような演出が多いのも小劇場です。一体感や臨場感を直に感じられるのが小劇場なのです。劇場が狭いので、そこに存在する空気の体積が少ないから更に近くに感じられるのですね。
そしてもちろん、お客様の笑い声や緊張感を肌で直接感じられるのも小劇場ならではです。まるで室温が変わったかのように感じることができるのです。そういう感覚が得られるから未だに小劇場が好きなんでしょうね。
そんなこんなの小劇場の楽しみ方。大劇場でも小劇場でもお客様に楽しんで頂きたいと思いながら作っておりますが、細心の注意を払って演じている我々も楽しめればそれに越したことはありません。小劇場ではそういった感覚のかなりの部分を自分でコントロールできるのが魅力でもあります。その分大変ではありますが、それもまた楽しみの一部です。今後とも大劇場も小劇場も楽しめる役者になりたいと思いながら筆を置きたいと思います。まあ筆なんて無いけどね!

KUTO-10山形公演の山形市民会館小ホール。小さく見えると思いますが、これでもコンツアーで最大の劇場です。

粟根まこと
あわねまこと│64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。
【出演予定】
劇団☆新感線「アケチコ!」
【東京公演】
6/12〜7/12◎EX THEATER ARIAKE
【福岡公演】
7/24〜8/8◎キャナルシティ劇場
【大阪公演】
8/20〜30◎フェスティバルホール





