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株式会社えんぶ が隔月で発行している演劇専門誌「えんぶ」から飛び出した新鮮な情報をお届け。
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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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キム・ヨンフン&キム・ドイ インタビュー

ビバ! ノンバーバルなコミュニケーション!?

今回は昨年の10月に観た二人芝居『Marriage Hunting』に出演していた韓国の俳優キム・ヨンフンさんとキム・ドイさんにお話しをお聞きしています。公演がとても面白く(よきときの“小劇場演劇”を彷彿とさせるような雰囲気で)お二人がとても素敵だったのですぐに取材をしたいと思ったのですが、言葉の問題など諸処気後れしていて、ここまでにずいぶん時間が経ってしまいました。その間にみょんふぁさんの取材をしていたところお二人が彼女の事務所(SORIFA)に所属していることがわかり、話が一気に進んだという次第です。韓国語が全くわからずに観た公演でしたがノンバーバルなコミュニケーション(使い方違ってるかもしれませんが)を存分にたのしんで来ました。たった2回の公演でしたのでぜひ再演して、もっとたくさんの人にみてもらえたらいいですね!(えんぶ編集長 坂口真人)
(このインタビューは雑誌「えんぶ」2026年8月号より転載)
キム・ドイ キム・ヨンフン

日本の作品に惹かれて

――最近、韓国のミュージカルや作品が日本でも人気ですが、ぼくはあまり知らなくて。何の前情報もなくお二人の韓国語の二人芝居『Marriage Hunting』を観て、ぜひお話を伺ってみたいと思いました。日本に来たいきさつから教えていただけますか?

ヨンフン 子供の頃から日本のTVドラマをたくさん観ていて、いいなあと思っていました。韓国で10年間俳優として活動をしていたんですけど、なかなかチャンスがなく。俳優を辞めようと思ったりもしたんですが、辞めても何をしたらいいかも分わからず…。兵役中に学んだ日本語をもっと勉強したいと思って、29歳の今しかない、と思って日本に来ました。

――ドイさんは公演の時と名前が違いますが?

ドイ ボギョンは覚えづらいと思って、変えました(笑)。私は韓国の大学で演劇の演出が専攻だったのですが、自分で演劇をやったことはあまりなくて。中国と韓国で映画の方、独立映画というジャンルで俳優をやっていました。

――そうなんですね。

ドイ Netflixで日本のアニメからドラマ、映画までたくさん観て日本の登場人物たちはいろいろなキャラクターがあるなと感じてそこに惹かれました。韓国だとステレオタイプの役が多くて、もっと自由な役を演じてみたいと思って、日本で演技の勉強をしに留学しました。大学院にも行こうと思って一年間、日本語を猛勉強したのですが落ちて、どうしよう?と思ったところでみょんふぁさんに出会って、今回の作品に出演することになりました。本格的な舞台に立つのはほぼ初めてでした。

根本宗子さんの演出が本当に素敵

――あの作品は舞台上で着替えたり、しゃべりっぱなしの二人芝居で、すごく楽しかったです。ヨンフンさんはお客さんに向けてアピールするシーンがありました。あそこはすごく清潔というか、きちっと媚びないで素敵。なかなかあんなことができる俳優さんはいないですよ。

ヨンフン 韓国では真面目なストレートプレイをしていて、コメディは初めてだったので最初に役を作る時、トーンがちょっと暗かったんですよ。稽古も最初のうちはこれはちょっと大げさじゃないかなって思いました。

――それをどう克服したんですか?

ヨンフン 演出の根本(宗子)さんに説得されました。こういう方法で表現してもいいんじゃないですかっていろいろ提案されるうちに徐々に「お、この形も面白いかも」と思い出して、チャレンジしてみることが多かったです。特にお客さんに話しかけるシーンは、最初はちょっと恥ずかしかったんですけど、どんどん面白くなって、最後は自分からもっとしたい、もっとしたいと思うようになりました。最初はドイさんと二人でなんかこれちょっと変じゃない?ってよく言っていました(笑)。

ドイ 私が演じた役は今まで出会ったことのない、私の周りにも存在していない、新しいキャラクターでした。 私もコメディがはじめて、学校でやった演劇以外で、主要な役として舞台に立つのも今回がほぼ初めて、しかも二人芝居が初めてで。

ヨンフン そう、台詞の量が多い!

ドイ 今回、私たちの韓国語版とは別に英語版と、根本さんがご自身で出演する日本語版があって、根本さんの演技をコピーしようかとも思ったんですけど、同じくはできないわけですよ。 で、結局私なりに何かを探してちょっとやったんですけれども…。

――すごくチャーミングでした。

ドイ あと根本さんの演出で本当に素敵だったのが、根本さん韓国語知らないんですよ。韓国の文化もあまり知らない。 文化が違うと、内容や面白さも違ってくるじゃないですか。そこを私たちにちょっと部分で任せてくれて。二人で相談してやってみると、「ああ、それいいですね」って受け入れてくれて、もっとうまく面白く作ってくれるんですよ。

――状況からしたらお互いにそうせざるを得ないのかもしれませんね。

ドイ 根本さんも演出として自分なりに描いていた絵があるじゃないですか。それよりも「韓国の文化の中で面白いことがあったら、それを使って二人なりの何かを作ってください。 これは二人の話なんで」みたいな感じでやってくれて。そこが勉強になりました。本当に素敵な演出家さんだなと。

月刊「根本宗子」『Marriage Hunting』(KOREAN ver.)
2025/10/17〜26◎中野HOPE(撮影◇須藤絢乃)

言語の違いを越えて

――この公演は⽉刊「根本宗⼦」が主催していて日本語・英語・韓国語バージョンを別の方が出演しています。それぞれご覧になりましたか?

ヨンフン はい。私3バージョン全部見ましたけど、本当にそれぞれのいい部分っていうか、違う雰囲気が出ていました。

ドイ 3チームが全部違っていて、とても面白かったです。

ヨンフン 同じ内容なのに、言語の味というかニュアンスが、それぞれ違って 3チームに全部いいとこがある。英語の味、日本語の味、韓国語の味それが言語の力、文化というか…そこが大事だと思いました。同じ話も、言語が違うとテンポも違って。

ドイ そうですね、テンポ感が違いました。私たちが一番早かったんです。韓国版がスピードが一番早くて、多分45分ぐらいだったと思います。尺が一番短い。

ヨンフン 43〜45分くらい。

ドイ 元々50分とか55分まで行く舞台なんですけど、私たちがやったら45分も経たない(笑)。

――自由な稽古場の雰囲気の中から、役者の個性が出てきて、演出家がまとめていくみたいなスタイルが小劇場の面白さだと思うので、それがここにあったと思って、すごく感動しました。

ヨンフン 本当に、なんか嬉しいです。

ドイ 字幕もないし。なんか内容大丈夫でした?

――お芝居って、観るものにとってただ面白ければいいわけですよ。だって芝居ってそういうもんでしょ。

ヨンフン 一番の重い言葉。

――会場に入ってからずっと楽しかったです。流れそのものがとても素敵だった。お二人の存在がとても素敵だった。 で、それが会場の全体の空気になっているから、ことばとかわからなくても楽しい。そんな雰囲気は簡単には作れないですよね。

ヨンフン 私は舞台に出ずっぱりで退場がなかったんですね、45分間。緊張し、集中しなきゃダメだから。なんか二人芝居は俳優としてはいいと思いますけど、大変です(笑)。

ドイ 本当に大変です(笑)。

Kim Young Hoon
1996年生まれ、韓国出身。東亜放送芸術大学卒業。韓国で舞台や映像などで俳優として10年間活動した後、2025年に来日。日本に来て初めて受けたオーディションが『Marriage Hunting』。以降NHKやTBSのTVドラマ出演や、NTVドラマで韓国語指導も行っている。

Kim Doy
1989年生まれ、韓国出身。韓国や中国で俳優として活動、受賞多数。(過去)映像作家としても活躍。北野武マニアの父親に背中を押され、日本に演技の勉強をしに留学。みょんふぁと出会い、事務所入所の面接した2日後に、『Marriage Hunting』への出演が決まった。

インタビュー◇坂口真人 写真提供◇キム・ドイ キム・ヨンフン