明治座で”祭シリーズ”『ながされ・る君へ~足利尊氏太平記~』開幕! 囲み取材レポート
明治座で、”祭シリーズ”12周年、シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太平記~』が、いよいよ本日、12月28日に幕を開けた。今年は12月31日の千穐楽公演では、観客とともに年越しカウントダウンで盛り上がるという胸躍る公演となっている。
このシリーズは、2011年より演劇製作会社る・ひまわりと創業140年を越える老舗大劇場の明治座がタッグを組み、「大人たちが本気でふざける」をモットーに、“面白おかしく、そしてなんとなく歴史が学べる舞台公演“として、「日本の歴史」を面白可笑しくシュールに上演してきた“祭”シリーズの最新作。
伝統ある商業演劇スタイルに則って、第一部ではお芝居、そして第二部ではショーという2部構成で届ける。今年は12年前の”祭シリーズ”初代座長の相葉裕樹を中心に賑やかに繰り広げられる。
第一部のお芝居は、『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』。朝廷が南北に分かれる混迷の時代を描いた軍記『太平記』をモチーフに、朝廷と幕府の覇権争いに巻き込まれる武士たちの奮闘。そして時代の大きな波や、周囲の圧に翻弄され、流され、それでも自分らしく生き抜いた足利尊氏の想いを描く。
「南北朝時代」は作品にするには歴史上もっとも難しいと言われる時代だが、それを世界一分かりやすくミュージカルで描くのがこの舞台。脚本は池田テツヒロ。演出はシリーズ3度目の演出をつとめる原田優一。音楽には、かみむら周平を迎え、日本発のオリジナルミュージカルを創り上げる。
やる気のない、権力にも無頓着、ただ家族とのんびり暮らしたい兄の尊氏(相葉裕樹)と、源氏の血にこだわり尊氏に期待する弟・直義(内藤大希)。日本全土を巻き込んだ史上最悪の兄弟喧嘩“観応の擾乱”はなぜ起きたのか?激動の時代を駆け抜けた男たちの歴史ロマンを届ける。
第二部では、『猿楽の日1338~近頃都で流行るものフェスティバル~』と題した、室町時代の音楽番組に今、都で流行中のアーティストたちが集合する。総合司会は鯨井康介が務める。
《出演アーティスト》
●ActSTONES 『イミネーッショ・レイン坊』
●鹿るGENJI 『ナラダイス★銀河劇場』
●新しい都のリーダーズ『キゾクブルー』
●ミュージカル『ナラジン』より「三種のジンギー」「ア・ホーリュー・ジ・ワー(あ、法隆寺は?)」
●THE ZEN 『JI-AI』
この公演のゲネプロ公開と出演者の取材会が、初日前日の12月27日に行われた。脚本の池田テツヒロ、演出の原田優一、出演者の相葉裕樹、内藤大希、石川凌雅、上口耕平、ROLLY、水夏希が登壇して囲み取材に答えた。
【コメント】
相葉裕樹(足利尊氏)
これからゲネプロを迎えますが、ようやくここまできたなという感じです。なかなかオリジナルミュージカルを作る機会がなかったのですが、短いけれど密度の高い稽古で、刺激的なメンバーと集中して、本当に楽しく稽古できて、あっという間でした。まだドキドキしていますが、まずゲネプロをきちんとやって本番に向かいたいです。
──本作のみどころについて。
池田さんの最高の脚本と、原田さんの的確な面白ディレクションを受けて、面白いだけではなくてギュッと内容の詰まった重厚なミュージカルが出来たのではないかと思います。その緩急を楽しんでいただけたらと思っています。さらに一部と二部ではキャラクターもまったく変わるので、それぞれ個性豊かなキャラクターを楽しんでいただきたいです。
水夏希(尊氏正室の登子)
年末の“祭”シリーズは3回目の出演になります。お客様がすごくワクワクされて開幕を待っていらっしゃるのが伝わってくるので、私も同じくらいワクワクしております。はりきって年末を迎えたいと思います。
──相葉さん率いるこのカンパニーの雰囲気はいかがです
すごく和やかで、厳しいところは厳しく、しっかり丁寧にやっていくという感じです。やはり座長の雰囲気が伝染するんじゃないかなと。やるときはやるし、ふざけるときはふざけて、終始和やかに楽しい稽古場でした。
内藤大希(足利直義)
あいばっち(相葉)と一緒で、また同年代の出演者が多くて、集中して楽しく、僕にとってはご褒美のような稽古期間を過ごさせていただいたので、その幸せな時間をお客様に届けて、素敵な2023年の締めくくりになるよう頑張りたいなと思います。
──兄弟役の相葉さんの魅力は?
この長身と笑ったときに愛嬌のある笑顔と、あと第二部でも見られるんですが振り切った笑いのセンスというかちょっとふざけたりする姿とか、舞台の真ん中に立つと求心力もあるというところだとか、ばっちのいろんな魅力がたくさん詰まった舞台で、僕自身プライベートでも一緒に行動したりするんですが、そういういろんなばっちを毎日隣で見ることができるので、僕自身も楽しみです。
ROLLY(後醍醐天皇)
明治6年に創建されたました明治座に、今年60歳になりました私が初めて出演できたことは、私の人生にとって大変な事件でございます。最高に興奮しております!
──初めての明治座はいかがですか?
こちらはお食事処も大変充実しておりますし、楽屋もとても素敵で、ここに住みたいような気分です。亡霊として(笑)。
上口耕平(高師直)
相葉さんが言ったように短い稽古期間でしたが、原田さんの的確なディレクションのおかげですごい濃密に、何度も何度も芝居を深める稽古ができたので、すごくしっかりした作品ができたぶん、2部とのギャップがものすごいことになっているので(笑)、それをお客様にお届けするのが楽しみで仕方ないです。
──原田さんの演出を初めて受けていかがですか?
本当に楽しみだったんですが、途中でディレクションの最中に、こういう風にやってほしいと再現されることが幾度かあるんですけど、うますぎるというか面白すぎて思わず稽古場で拍手が起きるんですよ。演出されながらそこまで体現されるかたは初めてだったので、またいろいろ優一さんの演出受けたいなと思いました。
石川凌雅(護良親王)
今、本当にワクワクしていて、2023年をこんなに素敵で楽しい作品で終われることを光栄に思っています。皆さんがおっしゃってるように、お客さまにお届けするのが本当に楽しみで、あ、みんな同じ気持ちだったんだと、またここで繋がれた気持ちでワクワクしてます。台本をいただいたときから、どんな演出がつくのかわからない部分もあったのですが、それもいよいよお届けできるので、楽しみです。
──初めての“祭”シリーズの感想は?
本気で楽しいものを作るぞ、という周りの方々の意気込みがすごく、ついていけるかドキドキしていたのですが、今はそういう緊張感も背負って、自分も楽しみたいと思っています。
原田優一(演出)
楠木正成役と今回の演出とキャストの両方を務めさせていただきます。“祭”シリーズの出演は3回目です。演出の作業で苦しみながらも自分の役のこともやらなければいけないというなかで、最近やっと自分のことも考えられるようになりました。皆さんのお芝居が深まっていることで、私も深まらなければと思いながら、まだ深まっておりませんが(笑)、私なりの楠木正成を作りたいと思っております。
──今の手ごたえはいかがですか?
池田さんからいただいた脚本、音楽、振付なども全て含めて最高の材料をいただいて創作活動ができていると思いますので、これで面白くないわけがないと思っております。私はいつも作品を作るときは出産のようだと言っているのですが、今回もいい子が産まれると思っております。池田さんとも話したのですが、すべてのキャラクターに愛情を注ぐことができると思っておりますし、役に対しても役者さんに対しても愛情をいっぱい注いでおりますので、すべての人を抱きしめたいそのぐらいの勢いです(笑)。本番を楽しみにしていてください。
池田テツヒロ(脚本)
今回、るひまの“祭”シリーズに初参加なのですが、けっこう良い脚本が書けたんじゃないかと思っています(笑)。先ほどメイクをしてくださったスタッフさんが「第二部面白いですよ!」と言われましたが(笑)、第一部はそれ以上に面白いと思っていますので、よろしくお願いします。
──今作についての思いは?
この物語の元になった「太平記」は、本当に暗くて長い悲劇なんです。でも年末の“祭”シリーズで、そんな悲劇は見たくないのではと思いまして、最終的にお客様が笑顔で帰れる仕掛けをほどこしておりますので、お楽しみになさってください。
最後に相葉裕樹より「年末にふさわしい“祭”シリーズになっているんじゃないかと思います。12年ぶりにこのシリーズに出演させていただきますが、明日から始まったら、すぐに終わってしまうんだなと、すでに寂しい気持ちになっています。公演は4日間で最終日はカウントダウンを皆さまと迎えられるということで、最高の2023年の締めくくりになると思いますので、まだお時間がある方は、ぜひ明治座に遊びにきていただいて、一緒に年を越していただけたらと思います。よろしくお願いします」とメッセージがあり、取材会を締めた。
【公演情報】
シンる・ひま オリジナ・ る ミュージカ・る
『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』
脚本:池田テツヒロ
演出:原田優一
音楽:かみむら周平
出演:相葉裕樹/内藤大希/
石川凌雅 松田岳 前川優希 井澤巧麻 広井雄士 井深克彦/
丘山晴己/井澤勇貴 伊藤裕一 加藤啓/
大山真志 辻本祐樹/原田優一/
上口耕平/ROLLY/水夏希
第一部 オリジナ・るミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
第二部 ショー「猿楽の日1338 ~近頃都で流行るものフェスティバル~」
総合司会/鯨井康介 日替わりゲスト◇平野良 藤田玲 蒼木陣 安西慎太郎
●12/28~31◎明治座
〈チケットに関する問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10時~17時)
〈公演に関する問い合わせ〉る・ひまわり info_2023taihenki@le-himawari.co.jp
〈公式サイト〉https://taihenki.com/
【取材・文/榊原和子 写真提供/る・ひまわり】