【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第151回「トークショーと座談会」
2024年、明けましておめでとうございます。今年は辰年。私は年おとこですので今年は昇り竜のように大活躍を、…いや、そんなことは考えずに粛々と自分の任を果たしていきたいと思っております。
さて、昨年の12月には演劇の舞台は無かったのですが、ドナインシタイン博士と研究発表をする学会である「ドナ禁カフェ」を東京と大阪で、そしてウチクリ准教授と劇団俳優論を語る講義である「ウチクリ研」で、日曜日ごとに人前で話しておりました。学会と講義というテイですが、要するにトークショーです。いや、違います。学会と講義です。
いずれも小さめの会場で少人数の前で話すという企画ですから、何といいますか、手の届く範囲での射程の短いお話ができるのが楽しかったですね。
「ウチクリ研」では劇団俳優論といいながら、ウチクリ准教授や助手の永石匠さん、ゲストの山崎雅志さんに劇団☆新感線の内情を根掘り葉掘り尋ねられ、それに答えるのに手一杯になってしまいました。もうちょっと裏回しをしてパネラーの皆さんからそれぞれの劇団事情を引き出せれば良かったのですが、ただひたすら答えることに集中してしまい、話を広げられなかったことが残念です。
「ドナ禁カフェ」は研究発表会ですから、こちらは自分の話に集中ができます。MacのKeynoteというプレゼンソフト(Winでいうところのパワポ)を駆使して映像を見せながらの発表です。ピン芸人さんでいうところのフリップ芸ですね。博士はいざ知らず、私か完全にパワポ芸と思っておりますのでネタ繰りから喋るスピードまで考えてやっております。要するにウケ狙いでやっておりましたが後悔はありません。
フリートークが専門ではない舞台俳優ではありますが、いずれもできる限り面白く興味を持って頂けるように話していたつもりです。
舞台俳優が話すといいますと、最近増えておりますのがディスクに収録する座談会です。昨年発売されました劇団☆新感線の「ミナト町純情オセロ」のBlu-ray Discには出演者数名による座談会が収録されておりましたし、今年発売予定の「薔薇とサムライ2」にも同様の座談会が収録される予定です。作品の解釈を深めるための解説からバカバカしい裏話まで、ディスクを購入して頂いたお客様に楽しんで頂けるような会話をお届けできるように努力しております。
まあね、最終的にはプロの方にキチンと編集して面白くして頂けますので、現場ではそれぞれが好きなように話しております。取りあえず、稽古や本番中に起こった事件や逸話を思い出してから行くのですが、どちらかというと話の転がり方を優先してその場で思い出しながら話すことの方が多いですかね。
他にも雑誌の取材とか、パンフレットのインタビューとか、舞台俳優とはいえ色んな場面と様々な状況で話すことが要求されます。みんながみんな話し上手って訳でも無いのですが、一応は人前で話すことを生業としておりますので、徐々に慣れてはきているような気がします。
収録の無いトークショーの場合なら喋り放題ですから気兼ねなく話せますが、ディスクの映像特典となるとちょっとは気をつけます。内容とか言い回しとかね。まあ、まずい話をしてもカットされるから大丈夫なんですけれども。
言ってみれば俳優部の与太話ではありますが、できるだけ聞き取りやすく判りやすく話すようには気を使っております。俳優なんて台本は練習ができるからスラスラ話しますが、フリートークとなるとまた別のスキルを必要とするので大変なんですよ。
様々な現場での、様々なタイプのトーク。つくづく思うのはお笑い芸人さんってのは凄いなあという事。話の構成も面白く話術も達者な上に、当意即妙な受け答えも見事です。真似しようと思っても真似はできないのですが、この年末年始は様々なテレビ番組でお笑い芸人さんのトークを楽しみたいと思っております。
本文とは関係ありませんが、先日散歩で見かけた赤坂プリンスクラシックハウス(旧李王東京邸)。昭和5年に建てられた重厚な建築です。
プロフィール
粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み
【出演予定】
dopeⒶdope step.9「バンピーラダーズ」
2024年2月28(水)~3月3日(日)◎サンモールスタジオ