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(雑誌『演劇ぶっく』は2016年9月より改題し、『えんぶ』となりました。)
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徳山秀典インタビュー

「公演を観た後に映画を観たくなる」朗読劇に

世界中のファンから愛され続けているミュージカル映画の金字塔「雨に唄えば」を、創作的な演出で上演する朗読劇、Classic Movie Reading『雨に唄えば』。
徳山秀典、小泉萌香、矢部昌暉、源秀流、麻央侑希、津田英佑、久ヶ沢徹と個性あふれるキャストたちが、徹底的にこだわり抜いた演出と生演奏のもと、名作に新たな息吹を吹き込む。
本作の主人公で無声映画の大スター、ドン・ロックウッドを演じる徳山秀典に、この舞台への意気込みや朗読劇の魅力を語ってもらった。

ドンは人間性が美しい、底知れない魅力を持つ人

──本作のお話を聞いて、最初にどんなことを感じましたか?

 「雨に唄えば」という作品は、アメリカでは知らない人がいないのではないかというほど有名なミュージカル映画で、当然僕も知っていたので、僕に務まるのかなというのが正直な気持ちでした。ただ、お声がけいただいたからには頑張りたいと思います。

──徳山さんも元となる映画はご覧になっていると思いますが、映画のご感想は?

 これまでいくつかの朗読劇に出演させていただいてきましたが、これを朗読劇で上演するのは、相当難しいのではないかという印象でした。心と裏腹の言葉がすごく多いんです。特に僕が演じるドンは、表情や動きでコミカルさを出す演技が大事になる役だと思うのですが、朗読劇ではそれを声だけで表現しなくてはいけない。もちろん、皆さんに想像していただく部分も多い作品になるとは思うのですが、稽古でどんなふうに作っていくのか楽しみです。

──今回、徳山さんが演じるドン・ロックウッドというキャラクターについては、どのようにとらえていますか?

 観る人によって、とらえ方はそれぞれだと思いますが、僕の中では、かなりやんちゃな人物です。最近はこういう役を演じていなかったなと。若い頃を思い出しながら演じたいと思います(笑)。ただ、そうしたやんちゃなところだけでなく、真面目で真っ直ぐなところもあって、人間性が美しい。底知れない魅力を持つ人というイメージです。

──若い頃を思い出してという言葉がありましたが、共感するところはありますか?

 僕は、意外と若い頃はチャレンジャーだったんですよ(笑)。「右にならえ」がすごく嫌で。ドンも、売れない頃からあれやこれや知恵を振り絞って、仲間と一緒にのし上がっていく、すごく頭の切れる人物で、新しいものを生み出していく力がある人物だと思います。僕がそうだとは言っていませんが(笑)。

──新しいものに挑戦していきたいという思いは、徳山さんにも共通するということですね。

 そうですね。誰かがやったことを同じようにやるのはあまり好きではなかったので。若い頃は、自分だけのオリジナリティを探していくことに一生懸命だったと思います。

──ドンを演じる上で、映画のキャラクターを意識されますか?

 僕は、原作がある作品では、第一に原作をリスペクトしています。その次に大事なのは、演出家の指示です。なので、その枠をまずはとらえるようにしています。それが大前提にあって、そこからいい意味で飛び出す躍動感を役者が作るものだと思っています。何より、この作品は原作が素晴らしすぎるので、変に僕がどうにかするよりも、原作を大事にしたほうが良いと思うんです。もちろん素敵なキャストの皆さまがいて、生演奏の音楽があるので、そうしたものをどう最大限活かせるかが勝負だと思います。

王道で、シンプルで、愛を感じる名作

──朗読劇で生演奏というのも豪華ですね。徳山さんの歌唱も楽しみです。

 映画の楽曲を生で演奏する場面もあると聞いています。今回、音楽を担当されている印南(俊太朗)さんとは、10年くらいの付き合いがあるんですよ。印南さんの生演奏は本当に素晴らしいので、すごく頼りにしていますし、きっととてつもないものになるのではないかと期待しています。

──舞台やミュージカルと違う、朗読劇ならではの楽しさはどんなところに感じていますか?

 舞台は五感で楽しむものだと思いますが、朗読劇ではいい意味で集中するところが狭まるので、より深く感じ取っていただけるのではないかと思います。演じている僕たちも、毎回、集中力を高めて臨まないとお客さまに伝わりづらいんですよ。しかも、朗読劇は、毎回、変化があるものです。公演ごとに変わっていくその空気感をどうとらえて前に進んでいくかを僕は特に意識して演じているので、そこが朗読劇とミュージカルの違いかなと思います。例えば、ミュージカルではミザンスがガチガチに決まっていることもあって、そうなると自由に動けないこともあります。もちろんそうすることでお客さまにダイレクトに伝わることもあるのですが、ある程度、自由が効く作品では、音楽も照明も全てがさらに意味を持ってくるので、よりお客さまの耳を幸せにできるのかなと思います。

──なるほど。朗読劇の方が芝居に変化を加えやすいんですね。

 本来は変えてはいけないんですよ。ただ、ダブルキャストがあるくらいですし、生の芝居はお客さまとも一緒に作っていくものなので、その場で変えることも出てくるのではないかなと思います。

──逆に、朗読劇だからこその難しさはいかがですか?

 演出の方が一番難しいのではないでしょうか。僕は出演だけなので、難しいところは演出の方に手綱を渡して、お任せできればと(笑)。

──初めて『雨に唄えば』に触れる方へ、この作品の物語の魅力を伝えるとしたら、どんなところでしょうか?

 名作ではありますが、構えて観る必要はない作品です。物語は非常に王道で、ものすごくシンプルなんですよ。クスッと笑えたり、ジーンと感動したり、ほっこりと愛を感じるシーンが随所に散りばめられているという意味での大名作なので、何の勉強もせず、とにかく気楽にお越しいただければと思います。きっと僕たちの公演を観た後に、映画を観たくなると思います。そして映画を観た方にも楽しんでいただけるように努力したいと思っています。

──最後に、改めて、作品への意気込みをお願いいたします。

 素晴らしい脚本、そして素敵なキャストの皆さんが揃っています。生演奏によってさまざまな効果が生まれ、きっとお客さまに特別な1日をお届けできると思います。観に来てくださるお客さまにとっては、一公演一公演が特別な公演だと思いますので、忘れられない素敵な公演に必ずします。ぜひ楽しみにしていてください。

プロフィール

とくやまひでのり○東京都出身。1995年にNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」でデビュー。以降、映像や舞台のほか音楽活動も精力的に行っている。主な出演作にドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」「GTO」など。9月17日から主演・総合演出の「ミュージカル信長~朧炎ノ刻~」(シアター1010)、11月6日から「仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの」期間限定上映予定。

(このインタビューは雑誌「えんぶ」2026年8月号より転載)

インタビュー◇嶋田真己

公演情報

Classic Movie Reading
『雨に唄えば』

脚本◇鈴木智晴(劇団東京都鈴木区)
演出◇坪井彰宏
音楽◇印南俊太朗
出演◇徳山秀典 小泉萌香 矢部昌暉 (Wキャスト)
源秀流 (Wキャスト) 麻央侑希 津田英佑 久ヶ沢徹 ほか

8/12〜16◎IMAホール(練馬区光が丘5-1-1 光が丘IMA中央館4F)

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