現在、私は劇団☆新感線「アケチコ!」東京公演の真っ最中です。久しぶりにバンドによる生演奏でお送りする怪奇骨董音楽劇でして、歌の巧いゲストの方々にたくさんお越し頂いておりますよ。
その東京公演会場はできたばかりの「EX THEATER ARIAKE」です。お台場の隣の有明エリアですので交通の便はあまりよくありませんが、広々とした余裕のある土地に建っています。何しろ出来たてほやほやですから何もかもが新品です。ピカピカです。内部も余裕があって使いやすく作られているのが嬉しいところ。
また、音響の良い劇場を目指して作られたという事で、オープニングラインナップがミュージカルばかりなのはそれを意識しているのでしょう。実際に使ってみた私の感覚としてもとても良い音響設計だと思います。台詞も歌声も聞き取りやすくて有り難い限りです。
舞台裏も廊下が広くて使いやすく、大劇場にしては楽屋から舞台も割と近めなのが嬉しいですね。
ご来場頂いた知り合いたちからも、歌声が聞きやすいと言って頂けました。あとはイスが座りやすくて良かったとか、座席が千鳥で見やすかったとか、色々と嬉しいご意見を頂いております。
つまりは使いやすくて見やすい劇場という事でして、そりゃもう嬉しい限りなのですが、続きの感想として「どこにあるか判りにくい」、そしてどこにあるかが判った方からは「遠くて行きにくい」とも言われております。まあそりゃそうだよなあ。こういう辺鄙な場所だからこそ贅沢な作りができたんだろうからね。
このように、初めての劇場を使う時には使う側、見る側など様々な方向からの検証を行うわけですが、我々俳優部にとって大変重要となるのが楽屋の使い勝手なのです。広さ、明るさ、窓の有無、床の素材、舞台ソデからの距離などなど、楽屋の使い勝手の基準は数々あれど、私が個人的に気にしているのが「鏡前に棚や引き出しがあるかどうか」なのです!
俳優にとって楽屋というのはメイクをしたり着替えをしたり準備をしたり寛いだりする、劇場での居場所となる重要な場所なのでして、楽屋の使い心地が良いと本番期間を楽しく過ごせます。楽屋数の多い劇場ならば時々は私も個室を頂けたりする場合もあるのですが、まあ大抵は大部屋か中部屋を数人から十数人で共同使用します。
鏡を見ながらメイクをする場所の事を「鏡前(かがみまえ/きょうまえ)」といいます。劇場によって違いはありますが、基本的には大きな鏡とメイク道具の置ける机、そして顔を照らす照明がセットです。全部が合体してユニット状になっていたり、壁面に据え付けられていたり、畳の部屋で座布団に座って使う仕様になっていたりと劇場によって様々です。
ただ、大部屋や中部屋では共用スペースが大半ですから、個人のスペースとしては鏡前のみです。幅50〜70cmくらいの細長いエリアが自分の城となるのです。もちろんその部屋に入る人数によって幅は広くなったりもしますが、共同生活に於けるプライベートエリアは鏡前のみとなるのは同じです。
でね、この狭いエリアに私物をまとめなければならないのです。机の上はメイク道具や飲み物でギッシリになりますし、机の下はカバンや着替えで一杯です。イスの背中にはタオルが掛かっているしイスの下には靴が置いてあります。プライベートスペースが狭くてしょうがない。
そんな時にあると便利なのが「棚と引き出し」なのです! 鏡の上の部分に棚があれば、着替えやタオルを置いておけるしカバンだって置けます。いちいちイスの上に乗らなければ届かないとしても、それを補って余りある便利さです。
また、引き出しがあればあまり使わないメイク道具や台本を入れておくのに便利だし、お弁当を食べる時に机の上のモノ達を一時退避させるのにも使えます。あとは合間に食べるお菓子だとかを入れておいたりね。引き出しに膝が当たって痛かったりしたとしても便利なモノは便利なのです。
ちなみにEX THEATER ARIAKEの鏡前には引き出しはありませんが棚はあります。しかも結構奥行きがあるのでたくさん載せられます。やっぱりあると便利だよねえ、棚。だけど棚って意外と無い場合が多いんだよね。全ての劇場で付けておいて欲しいものです。我々の快適さの為だけにね。
なお、辺鄙な場所にある以外はとても使いやすいEX THEATER ARIAKEですが、楽屋エリアにトイレが少ないことだけは困ってるんだよねえ。

ゆりかもめ東京ビッグサイト駅から見たEX THEATER ARIAKE。ゆりかもめ車両の上に見えているのが劇場です。

粟根まこと
あわねまこと│64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。
【出演予定】
劇団☆新感線「アケチコ!」
【東京公演】
6/12〜7/12◎EX THEATER ARIAKE
【福岡公演】
7/24〜8/8◎キャナルシティ劇場
【大阪公演】
8/20〜30◎フェスティバルホール





